あんどぅ徒然草③ 都市化が進む中で

 本質的な三つの変化の三つ目は「都市化が進む中で、多様な人々と共存できる技を身につける必要性がでてきたこと」です。子供たちはもちろんのこと、私たち親世代にとっても、この重要な変化を受け止め、生き方を再構築・修正していかなければならない時であると思います。

 教育学者の汐見稔幸先生(東京大学名誉教授)の書かれた「さあ、子どもたちの未来を話しませんか」(小学館)という本のなかで 「欧米を中心として世界の国々が、「これからを生きる子どもたちが、予測不可能な時代にあっても生き抜ける力を育てるよう、特に重要な保育・幼児教育に重点投資しよう」という方針のもと、様々な教育改革を行っている」ということが書かれています。日本も少し遅れて、同じ方向をめざそうとしています。幼児教育の無償化はこんな流れから出てきた事のようです。無償化により、誰もが幼児教育を受けられるようにする事は大事な事ですが、それ以上に新しい学力観に基づいた新しい幼児教育に変わっていくことを心の底から願っています。

子どもたちの未来には、砂漠化や気候変動など「地球規模の環境問題」が厳然としてありますが、これらに対し、現在の人類は「どうすればいいのか」決定的な打開策を見いだせていません。 それに対し、新しい科学技術、新しいアイディア、交渉術などを使って、「地球的規模の問題を解決する」「力のある次世代をしっかり育てていく」という強い思いで、OECDが中心となり教育改革を進めているのです。

二十世紀は「知識偏重型」の教育が当たり前でした。しかしこれからは、 「答えが見つかっていない問いに対して、情報を集め、人と意見交換しながら新しい考えを出せる力」「それを分かりやすくプレゼンし、人と協働できる力」が必要とされてきます。 日本の教育改革においても「協働」とうたわれています。OECDではこの重要な能力の一部を「キーコンピテンシー」と呼んでいます。

「キーコンピテンシー」とは、1.相互作用的に道具(ツール)を用いる  2.異質な集団で交流する、  3.自律的に活動するの、3つに分類しています。 これらを具体的に言い換えると、

. 情報や知識、言葉などをツールととらえ、うまく活用する力                                                           2. 他者とうまくコミュニケーションがとれ、ともに知恵を出し合って問題解決をはかる力                                    3. 計画やプロジェクトを自ら立てて実行する力 自分の権利やニーズ、限界を他者に表明できる力 ということになるでしょう。

この3つの力は、先の見えないこれからの時代、子どもたちが自分で人生を切り開いていくのにとても重要ではないかと思います。 今後ロボットやAIにより、「定型的なスキル」しか求められない仕事はどんどん減少していくことが予想されています。「計算が速い」ことに代表されるような「基礎学力を量と速度で評価する」古い学力観にとらわれていると、ロボットやAIにおきかえ可能な、個性の乏しい「指示待ち」の人材を量産することになりかねないと教育評論家の尾木直樹先生は、警鐘をならされています。(取り残される日本の教育・講談社α新書)

 尾木先生はこの本の中で、PISA型学力をはぐくむ上で有効な「フィンランドメソッド」を紹介されています。「フィンランドメソッドでは、たとえば文章表現の授業では、子ども達をまず遊ばせます」 「目をつぶって、風景や衣装を想像してごらん。物語のストーリーを作ってみようねと語りかけ、子どもたちのイメージをふくらませます」 「フィンランドの子どもたちは、この一連の流れの中で発想力、ストーリーを展開させる論理力など、総合的な力が身に付く教育を受けているのです」  

日本の教育が一足飛びにフィンランドの教育を取り入れることはむずかしいことでしょうけれど、到達点として、そこを目指しながら、では日本では今、何ができるかを考えて実践に移していくこと、トライアル&エラーを重ねながら積み上げていく事が必要なのです。これまでの「学力観」をぬけだし、「新しい学力観」を打ち出しながら、まず私たち親世代が変わること、そして視野を世界に広く広げ、目の前の子どもを通して、「子育てとは何か」「教育とは何か」を考え続けていくことが大事なのではないかと感じています。

さて前置きが長くなりましたが、以上が今を生きる私達に共通のバックグラウンドだと私は考えます。これに対する、皆様のお考え・・・賛成・反対・付け加えなど、どんな事でも大歓迎です。是非お寄せください。 次回からコラムやニュースレターを通して、以上のような視点で、皆様と共に、意見交換をしていきたいと思います。「ひまわり」がそんな「協働の場」になっていってくれたらと楽しみにしております。