「大学入試改革と子供の未来」④子どもの未来の真実

 かつての日本は総中流社会と呼ばれていました。国民の9割が中流と意識する社会です。まあまあの成績を取っていれば、まあまあの学校・まあまあの会社に入ることができ、まあまあの豊かさが保証されていた社会です。そうした社会では1割の「落ちこぼれ」にさえ入らなければよいとされていました。保護者の皆さんも子供の頃、「クラスでトップとは言わない、せめて平均点くらいは…」と、親から言われていたのではないでしょうか。それは、平均点さえ取っていれば1割の落ちこぼれにはならないと安心できたからです。ところが現在は「パレートの法則(20対80の法則)社会」です。上位2割に入らなければ豊かさが保証されない社会です。好むと好まざるとに関わらず、日本はそうした社会に突き進んでいます。子どもたちが生きる未来は、その傾向にいっそう拍車がかかっていることでしょう。親として何ができるか、子どもに何を残してやれるかを考えなければなりません。

 第1に、以上のような社会の変化、それに伴うシステムの変化をしっかりと受け止めることです。人は、自分にとって不都合な事象に対して目を背ける傾向があります。「とりあえず今日は考えるのをやめよう。もしかしたら、明日になれば事態は好転するかもしれない」と考えます。しかし、現実社会では回りが勝手に好転することはありません。好転させることができるのは、自分の力以外にはないのです。子どもはまだ、自分の人生を好転させる力を持っていません。親としての責任と覚悟が求められています。少なくとも近未来のことで言えば、現中学3年生から大学入試改革に着手され、現小学5年生からは本格的に施行されるのです。その改革に対応できる能力を子どもには身に付けさせたいものです。

 小学5年生からは移行期間が終わり、本格的な入試制度変更が始まります。共通テストに加え、推薦入試等に利用される「基礎学力テスト(仮称)」も本格活用されます。大学受験はさらに早まることになります。(高2の夏前後に実施か?)

 現高校1年生も安心してはいけません。かつて、センター試験の前身であった共通一次が導入される前年度、大学入試レベルは大きく上昇しました。浪人して新制度の下で再挑戦するのを嫌った結果です。今回も同じ現象が生じるのは間違いありません。

 どんな制度にも一長一短があり、生徒にとっては有利・不利が生じます。しかし大切なのは、本物の学力です。それさえ身に付けておけば、どんな入試制度も恐れることはありません。そして、この大学入試改革を利用して、子どもたちにはグローバル社会・超少子高齢化社会を力強く生き抜く本物の「生きる力」を身に付けてほしいと願っています。