「大学入試改革と子供の未来」③労働生産性の真実

 現在進められている大学入試改革は、「グローバル社会に対応する人材を育成するため」の他にもう1つ、理由が挙げられています。それが「生産年齢人口の急減」です。日本は2006年を境に人口減少期に入りました。少子高齢化現象が言われて久しいのですが、最も深刻なのが生産人口の減少です。

 国の経済規模はGDP(生産)で計られますが、生産=分配(所得)=支出(消費)であること(三面等価の原則)は知られています。ここ数十年、「GDPの6割を占める個人消費を伸ばさなければ経済は発展しない」という議論が続けられてきました。もちろん、それは正しいのですが、内需拡大には限界があります。三面等価の原則から言って、消費を拡大するためには分配が、分配を増やすためには生産が拡大することが大前提であるのは自明です。つまり、「生産年齢人口=生産力」の減少は経済力、ひいては国力の減退に直結する問題なのです。政府は「女性が輝く社会」とか「一億総活躍社会」などとスローガンを打ち出して、生産人口の増大に躍起になっていますが、残念ながらそれだけでは根本解決にはなりません。

 GDPの拡大方法は2つです。内需拡大と外需(外貨獲得)拡大です。内需拡大に限界がある以上、いきおい外需拡大を目指さなければなりません。思い返してみれば、高度経済成長を続けていた時代、日本は加工貿易立国でした。貿易摩擦等の問題を抱えながらも、大量の外貨を獲得して経済成長を成し遂げました。あの「バブル期」と称される80年代ですら、世界を席巻していたのはソニーのウォークマンだったりするのです。それが今では、マイクロソフトやアップルにその座を奪われ、気付けば貿易赤字国に転落しています。こうした現状を打破するためには、「現状を打破する人材」が必要です。有体に言えば、日本から第2のビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズを輩出することが求められているのです。現在の大学入試改革は、そうした人材の育成を目的として進められています。